社会保険労務士と行政書士は何が違う?双方の特徴を理解しよう!
なんとなく似たような業務を行うイメージのある社会保険労務士と行政書士。皆さんはこの二つの職業の違いを知っていますか?実際、行っている業務を具体的に見てみると大きな違いがあることがわかります。どちらかの資格を取得したい、または二つの資格を取得したい、自分に適した資格を知りたいという方は本記事を参考にしてみてください。
社会保険労務士と行政書士の違い
専門とする法律の分野が異なるものの、職務遂行や顧客を獲得する上で相互補完できる関係性にある二つの資格。ここでは、社会保険労務士と行政書士の違いについて説明します。
社会保険労務士・行政書士になる方法の違い
社会保険労務士になる方法は国家試験に合格することのみになります。受験資格については高校・専門学校卒以上の学歴がある場合と、社会保険労務士事務所等での勤務歴が3年以上という条件があります。ただし、行政書士の資格を所有していれば、学歴や職歴関係なく試験を受けることが可能です。その一方で、行政書士になる方法は3つあるので覚えておきましょう。
一つ目の方法は社会保険労務士と同様、国家試験を受けて合格することです。行政書士の試験は誰でも受験が可能という点は大きな違いになります。
二つ目の方法は、公務員として役所に勤務し、行政事務に17年~20年以上携わることです。
そして最後、3つ目の方法としては、弁護士、税理士、公認会計士、弁理士の資格を取得することです。いずれかの資格を所有していれば登録のみで行政書士と名乗り、業務を請け負うことができます。
仕事内容の違い
社会保険労務士の仕事は一言でいえば労務関係の業務です。労務に関する書類の作成や提出代行、コンサルタント業務を主とし、雇用保険や年金、健康保険といった労務管理を専門とする仕事といえます。
対して行政書士の仕事は、行政機関に提出するための行政書類を作成する仕事がメインとなります。たとえば事実証明、許認可申請、権利関係といった許可申請業務です。また、代理人として契約書や念書等の書類を作成し、依頼に対しての相談に応じます。このことから行政書士は「代書屋」とも呼ばれています。
収入の違い
社会保険労務士の平均年収は独立開業か勤務かにもよりますが、400万円~700万円ほどが平均とされています。一方、行政書士の平均年収は400万円ほどと、社会保険労務士の方が収入面では安定しているといわれています。その理由としては扱う業務の量が挙げられます。行政機関へ提出する書類の作成代行を主な業務とし、また単発での仕事が多いのが行政書士です。
それに対し、社会保険労務士の仕事は保険書類の提出代行、帳簿書類作成、コンサルタント業務といった幅広い業務があります。また、顧問契約で長期的に収入が得られ、独立開業だけでなく企業へ勤務するという働き方も選択できるため、より安定した収入を得られるのが社会保険労務士になります。
社会保険労務士と行政書士どちらの資格の取得を目指すべき?
個々の適性、興味、働き方の希望などを含め、自分に向いている方の資格取得を目指すとよいでしょう。どちらの資格も別の仕事をしながら資格取得の勉強をすることも可能であり、一度資格を取得すれば、生涯続けられる職業という点では共通しています。社会保険労務士になってから行政書士の試験を受ける、逆に行政書士になってから社会保険労務士の試験を受けるといった選択をする方も多いといわれています。相互補完の関係にある仕事であることから、社会保険労務士と行政書士の両方の資格取得を目指すのもよいでしょう。
社会保険労務士と行政書士のダブルライセンスもおすすめ
社会保険労務士と行政書士の資格とのダブルライセンス取得のメリットについてここでご紹介します。先ほどお話ししたように、この2つの資格取得で行える業務は相互補完の関係にあります。ダブルライセンスにより広範囲の業務を請け負うことができるという部分で、新規顧客からも信頼が得やすく、仕事のチャンスも確実に広がるでしょう。また、二つの資格を所有することで、ワンストップサービスで関わることのできる業務も生まれます。
たとえば、行政書士として法人を設立し、社会保険労務士として労働、社会保険の手続き業務まで請け負うといった場合です。一人の顧客から行政書士、社会保険労務士両方の業務を請け負うことで、収入アップ、報酬の安定にもつながります。また、二つの資格を保有する強みとしては、どちらかの仕事の需要が減る時代が来ても、もう一方の仕事でつなげていくことができるという安心感につながる点でしょう。
まとめ
社会保険労務士と行政書士の仕事は、専門分野は異なりますが、関係性は強く、どちらの資格を取得しても生涯生かせるものとなります。また、ダブルライセンス取得によって業務の幅が広がることも期待できます。どちらかといえば社会保険労務士の試験の方がより難易度が高めともいわれますが、充分な勉強時間を確保できれば、合格率から想像するよりも資格取得は難しくなく、年齢を問わずチャレンジできる資格です。自分の適性を考えながら、社会保険労務士または行政書士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。